Rouletteのブログ

WEB作成を2020年5月から始め、悪戦苦闘。書きたいことは限りなくあるので、問題解決のため、日々挑戦を続けます。

米投資銀行決算発表。Before & After

投資関連情報

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前回の投稿では、「4月14日(水)、GS、JPM、WFCから始まる米大手金融機関の決算発表では、来期以降のEPS予想のダウンサイドへの変化に注目が集まると考えます。」と指摘致しました。

4月14日~16日の決算では、比較対象とした7銀行の全てが、2Q決算で公表するEPS見込を、今期実績より低く見積ました。これまでのところ、そのことに着目した記事は見かけません。

  1. SLRの延長は3月末で中止
  2. SPAC上場に関する規制強化に向けての準備
  3. ロシア債券購入を禁止を発表(下記リンクを参照下さい:出典 Bloomberg

    バイデン政権がロシアに追加制裁、新発ロシア国債の購入制限

  4.  金融規制のプロ、ゲンスラー氏がSECのトップに指名され、14日に上院で人事が承認

金融引締めは暫く無いにしても、以上のように金融機関に対する規制強化の流れが続く。このことを当事者自身が認識している結果、保守的なEPS予想になったと考えます。

以下が、決算発表前後の株価、EPSの推移です。

2021年3月19日(SLR 規制強化発表の日)を起点とする株価推移

米国主要金融の場合の株価の推移

  GS MS JPM C BAC WFC USB
03/19 344.20 82.94 154.23 73.01 39.99 39.63 54.79
03/22 339.33 81.92 150.09 71.96 39.70 38.97 53.83
03/23 331.77 79.12 148.58 70.91 40.05 38.24 53.18
03/24 328.65 79.33 149.74 70.08 39.69 38.12 53.07
03/25 330.55 80.13 151.66 71.72 39.80 39.30 54.48
03/26 327.39 79.98 154.18 73.02 39.49 39.76 55.79
03/29 325.73 77.88 151.79 71.58 38.69 38.44 55.18
03/30 332.01 79.09 153.58 72.96 38.99 39.39 55.87
03/31 327.00 77.66 151.34 72.75 38.31 39.07 55.31
04/01 327.64 78.22 152.81 73.14 38.68 39.63 55.83
04/05 323.54 78.00 153.62 72.75 37.66 39.48 56.37
04/06 327.06 79.09 152.54 72.60 36.90 39.85 56.23
04/07 326.55 79.04 154.93 72.69 36.90 39.99 56.81
04/08 331.14 80.20 155.12 72.33 37.66 40.03 56.78
04/09 330.81 80.72 156.28 72.42 38.53 40.50 57.29
04/12 331.84 80.18 155.95 72.69 40.06 40.77 57.68
04/13 327.68 79.53 154.09 72.06 39.32 39.79 56.63
04/14 335.35 80.79 151.21 72.91 39.88 41.99 57.58
04/15 338.55 80.82 152.17 72.54 38.74 42.24 56.33
04/16 342.31 78.59 153.30 72.45 39.15 43.84 57.86
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3月19日の終値を100として指数化。ベンチマークとしてDJIを追加

  DJI GS MS JPM C BAC WFC USB
03/19 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00
03/22 100.32 98.59 98.77 97.32 98.56 99.27 98.33 98.25
03/23 99.37 96.39 95.39 96.34 97.12 100.15 96.49 97.06
03/24 99.36 95.48 95.65 97.09 95.99 99.25 96.19 96.86
03/25 99.97 96.03 96.61 98.33 98.23 99.52 99.17 99.43
03/26 101.36 95.12 96.43 99.97 100.01 98.75 100.33 101.83
03/29 101.67 94.63 93.90 98.42 98.04 96.75 97.00 100.71
03/30 101.35 96.46 95.36 99.58 99.93 97.50 99.39 101.97
03/31 101.08 95.00 93.63 98.13 99.64 95.80 98.59 100.95
04/01 101.61 95.19 94.31 99.08 100.18 96.72 100.00 101.90
04/05 102.76 94.00 94.04 99.60 99.64 94.17 99.62 102.88
04/06 102.46 95.02 95.36 98.90 99.44 92.27 100.56 102.63
04/07 102.51 94.87 95.30 100.45 99.56 92.27 100.91 103.69
04/08 102.68 96.21 96.70 100.58 99.07 94.17 101.01 103.63
04/09 103.59 96.11 97.32 101.33 99.19 96.35 102.20 104.56
04/12 103.42 96.41 96.67 100.52 99.56 103.97 102.88 105.27
04/13 103.22 95.20 95.89 99.32 98.70 102.05 100.40 103.35
04/14 103.38 97.43 97.41 97.47 99.86 103.50 105.96 105.09
04/15 104.32 98.36 97.44 98.09 99.36 100.55 106.59 102.81
04/16 104.82 99.45 94.76 98.81 99.23 101.61 110.62 105.60
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指数化チャート

  • 決算発表直前の4月13日(火)では、選択した7つの金融機関は終値ベースで前日比マイナスでした。
  • 決算発表当日では株価を上げた会社が多い中、MSは$80.82から$78.59に株価を下げました。
  • ウェルズ・ファーゴは、発表日からの3営業日で約10%、株価を上げています。
  • 投資銀行ではありませんが地銀大手のUSBも、ベンチマークのDJIをアウトパーフォームしています。

各社のCash Flow と4半期EPSの変化(出典:Tradingview)

Goldman Sachs Group

Morgan Stanley

JPMorgan Chase Co

Citigroup Inc

Bank of America Corporation

Wells Fargo & Company

US Bancorp

Summary

参照:専門は暗号資産、バイデン政権「規制の凄腕」

 日経新聞 豊島逸夫(としま・いつお)
 

ウォール街でゲンスラー氏といえば、過去に米商品先物取引委員会(CFTC)トップで、大胆な規制強化を実行した「規制のプロ」として恐れられていた。その彼が米バイデン政権の証券取引委員会(SEC)トップに指名され、14日に上院で人事が承認された。承認に手間取るうちに、投資家交流サイト「レディット」の乱、投資会社アルケゴスの問題などが相次いで発生し、金融市場の整備・規制が喫緊の課題となっている。民主党急進左派エリザベス・ウォーレン上院議員などが強烈に突き上げている。

問題山積のなかで、ゲンスラー氏はまず暗号資産市場の整備・規制強化に取り組むことになりそうだ。同氏は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でブロックチェーンや暗号資産を専門に教鞭(きょうべん)をとっていた。承認当日に、暗号資産の交換所大手であるコインベースがニューヨーク市場に上場したのも象徴的だ。

まず規制の対象として議論されるのは、暗号資産業界の「悲願」といえるビットコイン上場投資信託ETF)になりそうだ。そもそも暗号資産は「コモディティー」と見なされ、CFTCの管轄下になる。しかし、ETFとなれば監督機関はSECだ。

ETFができれば個人投資家の参入が加速し、暗号資産市場の裾野は広がる。空売りも可能になって、ヘッジファンドの参入で流動性も急増が見込まれる。長期的には、上昇トレンド一辺倒だったビットコインの価格には下押し圧力もかかり、健全な価格形成になるともいえる。

このビットコインETFを、SECはこれまでことごとく退けてきた。なぜか。

筆者は金のETFの米国市場での上場で、SECと交渉した経験がある。ゴールドを原資産とするETFで、SECが最もこだわったのは原資産の価格に正確に連動するのか、という点だった。ETFと原資産の価格の乖離(かいり)をSECは最も嫌う。正確に連動することがETFの原点なのだ。

そこで顧客の売買注文に値付けするマーケットメーカーの存在が重要視される。特に市場が荒れた時、常に適正なオファー(売値)とビッド(買値)をリーズナブルな値差(スプレッド)で、自らリスクをとって示す機能が不可欠だ。このマーケットメーカーが3社は必要とされている。

この点が暗号資産では難関となろう。暗号資産の価格のボラティリティー(変動性)は異常に激しい。原油ETFでも同様の問題があったが、その比ではない。暗号資産ETFは原資産の価格変動からの乖離が頻繁に生じかねない。

マーケットメーカーの適役として、大手投資銀行のトレーディング部門の参入が望まれる。だが、アルケゴス問題の記憶は鮮明で、彼らは自己勘定による暗号資産の売買を許容できる状況ではあるまい。

暗号資産の先物市場の整備、市場参加者の財務基盤強化、コンプライアンス(法令順守)の徹底が急がれる。暗号資産と金融市場の知見が必要なだけに、ゲンスラー氏は適任だ。暗号資産業界からも期待される人事だろう。

バイデン政権内でもイエレン財務長官は暗号資産に強い拒否反応を示す。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も、「投機的」などと発言し好意的ではない。中央銀行の通貨発行・管理の外にある暗号資産は「目の上のたんこぶ」とみえるのだろう。

ゲンスラー氏に待ち受けるのは暗号資産だけではない。

オンライン掲示板「レディット」を舞台にした米ゲームストップ株の短期売買を巡っては、ネット証券が手数料を無料として個人から受けた売買注文を高速度取引業者に回してリベートを受け取る制度にメスを入れる必要がある。高速度取引が席巻する時代に、売買契約成立から清算まで2日かかるという長年の業界慣習も短縮が望まれる。契約から清算までの期間が長いと当事者の追加証拠金不足など債務不履行発生の確率は高まる。これは市場の清算インフラ構造の改革なだけに相当の時間を要する。

ヘッジファンド空売りへの規制強化や透明化も必要とされる。空売りには、過熱した価格上昇を冷やす機能もあるので、バランス感覚が求められる。

そしてアルケゴスの問題では、個人資産の管理会社である「ファミリーオフィス」の透明化や投資銀行リスク管理の見直しなども必要だ。

規制緩和に徹したトランプ政権時代に骨抜きにされたSECは、バイデン政権下で再建が急がれる。「規制のプロ」の腕の見せどころでもあり、ウォール街は警戒感も抱きつつ見守っている。